「当日運営」 と 「当日制作」 について

「当日運営」 と 「当日制作」 について
(※この文章は多くの誤りを含む可能性があります)
 
(追記) この記事は、2025年2月にツイートしたもの の転載です。微修正あり
 
◆業務を束で考える
まず、1つ1つの “業務の束” は、ソーセージやケーブルのような、円柱系でイメージすることにします。
“業務の束” は、複数があつまって別の名前で呼ばれることもあるし、逆に、1つの束に複数の束が入っていて、それぞれにも別な名前がついているということもあります。
そういう “名前のついた業務の束” のことを、fringe では “領域” と呼んでいる気がします。このツイートでは、“業務” と書いた場合はそういう “束” をイメージしています。
 
※ この先、 「」 がついていたら業務またはその一部、そして 〈〉 がついていたら役職名だと思ってください。
 
◆当日運営とは何か
まず、一番ぶっとい業務が、 「運営」 です。組織運営、団体運営からイメージできるように、 「運営」 は長期的な長さを持った業務です。
ここでは、1つの公演を単位にした運営を想定することにします。 「運営」 のぶっとい業務のうち、公演の当日に行われる部分を 「当日運営」 と呼ぶことにしましょう。
 
「当日運営」 には、大きく2つの部分、舞台に接する裏方の部分と、観客に接する表方の部分があると思います。
裏方の業務としては、 「舞台監督」 「音響」 「照明」 「大道具」 「小道具」 「衣装」 等々があると思います。
それに対し、 「制作」 は表方の全業務と、あと裏方の業務も少し含んでいるような業務といえます。
そして、裏方のトップが 〈舞台監督〉 、表方のトップが 〈制作〉 です。
 
つまり、 「運営」 の中にもともと、裏方の業務群や 「制作」 の束が入っており、その束全体を、公演当日に行われる部分としてズバッと切ったものが 「当日運営」 なのです。
だから、制作以外の裏方にも、 「当日運営」 にあたる部分があります。「制作」 の分野について “当日運営” という語を使うとき、それが “ 「制作」 に含まれる 「当日運営 」 の部分” のみを
指していることがある、のは注意が必要だと思います。ただ、その業務範囲を想定・共有しているうえで、その担当者を 〈当日運営〉 と呼ぶことは、自分は問題がないと考えています。
 
◆当日+業務名
例えば 「音響」 の束を取り出して、その業務のうち当日に行われる部分を 「当日音響」 という名称で考えることは可能で、とくに問題は発生しないと思います (実際になんと呼ぶかは不明)。
現実世界でその部分の担当者には例えば 〈音響オペレーター〉 〈PA〉 等々の名称がついていると思います。あるいは 〈音響〉 の人が担当したり、人によっては 〈音楽〉 だったりするかもしれません。
 
つまり、業務を何と呼ぶか、その担当者にどのような名称がつくか、さらに “その名称を持った人” が現場で実際にどのような業務を担当するか、はすべて異なっている場合もある、ということです。
そして、団体と当人の間に合意があれば (また世間の感覚と大きくずれることがなければ) どのような名前がついてもよいと思います。
 
もうひとつ、架空の話として 「物販」 について考えます。 「物販」 は 「制作」 の業務のうちの一つですが、 「もぎり」 「受付」 などと違う点は、公演当日以外にも長さのある業務だということです。
例えば 商品の検討~デザイン・発注あるいは製作~準備~販売 というような過程があり、この当日部分のみを 「物販」 から切り出して 「当日物販」 として認識することは、可能で、
とくに問題はないと思います (実際に呼ぶかは別) 。そして、その担当者に 〈当日物販〉 という役職名をつける、つまり一般的に 〈売り子〉 と呼ばれているポジションの担当者に
そういう名前をつける、ということも、とくに問題がないと思います。
 
◆ 「当日制作」 再考
1つの業務に対して、当日部分を切り出すことが可能だ、ということを述べました。 「制作」 に視点を戻して考えます。 「制作」 の業務で公演当日に行う部分は慣例的に “当日運営” と呼ばれているように思います。
しかし “当日運営” とは本来、裏方業務まで含めて横断的に存在している業務の部分であって、実は 「制作」 の範囲のみにおさまっている概念ではない。
 
お気づきの方もおられると思います。 「当日制作」 とは、“当日運営” のうち、 「制作」 の範囲にあるもののみを指す、ということを明確にした概念なのです。
つまり、純粋に 「制作」 における当日部分のみを切り出したものが、 「当日制作」 なのです。この言葉は、わりと最近になって現れました。より正しくは、その部分を、
若い世代の人たちが、 「当日制作」 として認識し、そう呼ぶようになった。そしてさらに、その担当者に 〈当日制作〉 という呼称をつけた、ということだとわたしは思っています。
 
◆fringeを読み解く
以下は正確な抜出しではないと思いますが、過去にわたしがそう認識したフレーズと、それに対するわたしの現在の認識です
 
『制作は団体への長期的な視野と長期間の併走が必要で、1日だけ来て名乗れるものではない』 → 完全に正しいと思います。 〈制作〉 はそうだと思います
『当日+制作という組み合わせはない』 → 当日+ 〈制作〉 と考えてしまうから違和感が発生する、ということではないでしょうか。
業務としての 「制作」 から当日部分を切り出して 「当日制作」 と認識し、その担当者を 〈当日制作〉 と呼ぶことは可能で問題がないと思います。
そして、 〈制作〉 と 〈当日制作〉 が完全に別物だという共通認識は、現実の使用者にはすでにあるのではないかと思っています。
 
関連:fringe / 「当日制作」 という役割はない (2019年)
 
◆何がしたいのか
〈当日制作〉 が別におかしくない、ということになって欲しい。そうすれば 「まだ当日制作を使っているのか」 「制作面に不安が出てしまうな」 と思っていたひとはまあいいか、となるし、
「当日制作のxxxです!」 「当制行ってきます!」 にもやもやしていたひとは、ほのぼのすると思います (おわり)